パッケージデザインのJANコード

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グラフィックデザイナーの中でも、パッケージデザインは少し特殊な知識が必要になります。チラシやパンフレットを作るようにデザインは作れるのですが、パッケージに特化した作成工程があります。中でもJANコードはデザインの良し悪しよりもクライアントにとっては一番間違いがあってはならない部分です。

そして、JANコードはJIS規格でルールが決められています。クライアントがそのルールを知っていればよいのですが、クライアントもデザイナーも知らずに校正の段階をスルーしてしまうと、せっかく作ったパッケージが印刷終了後(量産後)にバーコードが読めない!なんて大変なことになりかねません。

JANコード作成で気をつけること

  • サイズに規定があるので、勝手に拡大縮小してはいけない
  • JANコードには読み取れない色がある(赤は読み取れない)
  • 背景の色によっても読み取れないことがある
  • 上下左右の余白が決まっている(クワイエットゾーン、サイレントゾーン)
  • イラレで線の太さなどうっかり可変してしまわない

JIS規格の概要

JIS 規格(日本産業規格)に定められているサイズ・品質に適合している必要があります。(規格番号X0507)

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サイズ:標準タイプ(100%)というサイズがあって、縮小拡大率は5%刻みで最小80%〜最大200%で作成となっています。小さく表示したい場合はバーの高さを削ることができます。(※ 海外に輸出する商品では高さを削ることはできません。JIS 規格通りのサイズで作成。)

品質:読み取りのエラーが出ないものを作成しなくてはなりません。支給されたJANコードの場合、pngや画像形式で解像度が低いとジャギーが出てしまいます。支給されたJANコードがそのような場合はクライアントに確認を入れて、ベクトルデータで作成し直すことも必要です。

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アイライナーや鉛筆など、細いものには短いバーのJANコードを入れている商品も見かけます。お店側の読み取る機械の性能によるもので、実際アイライナーのJANコード作成でクライアントに確認した時に、化粧品販売のお店ではペン型などの高性能バーコードスキャナーを採用しているところが多いので、大丈夫と言われました。その判断はクライアント側に確認しましょう。

参考:バーコード講座(キーエンス)、JANコードの作成手順(GS1 Japan)、JIS規格

バーコードの色について

JANコードは赤外線センサーつまり赤い光で読むので、バーコードを赤で印字すると読めません。黒いバーを読んでいるのではなく、黒と黒の間をスキャンしているそうです。赤で印字すると読めませんが、赤字に黒で印刷は読めるという面白い記事がありました。印字色が黒で白背景がベストですが、濃い色で背景色とのコントラストがはっきりしていれば、読めることになります。デザイン上あえて白地に黒の印刷では困る場合は、印刷会社にテストスキャンなどをお願いして確実に読めるように作るなど確認が必要です。

赤いきつねは赤背景に黒印刷、緑のたぬきは緑背景ではない理由は?緑背景に黒印刷ではバーコードが読めないからです。

参考:バーコードの背景に使える色

Quiet zone、Silent zone

JANコードには余白が必要で余白はクワイエットゾーン、サイレントゾーンと呼ばれます。海外からダイカットをもらうとQuiet zone、Silent zoneと書いてあることがありますが、印刷してはいけない領域ということになります。この領域内には、パッケージのJANコード周りによくある発売元の住所やリサイクルマーク などが入らないように気をつけましょう。

イラレで使える無料バーコード作成サイト

過去記事でも紹介しているので参考にしてください。日本語のサイト「バーコードどころ」が使いやすいですが、過去には日本であまり流通していないバーコードを作成することがあり、有料のバーコードソフトでも対応していないものがありました。そういったコードは海外の作成サイトやプラグインを使うようになります。

バーコードどころ
バーコードどころ
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Barcode Generator

パッケージ関連のバーコードの種類

近年は日本国内で印刷するよりも、海外に入稿して海外生産する場合が多くなりました。日本で販売する用のJANコードだけでなく海外から流通させる時に使うバーコードをパッケージや外箱に印刷することもあります。パッケージのお仕事で過去に作成を依頼されたことのあるバーコードを載せておきます。

  • DataMatrix(ECC200)—国際規格化されている2次元コード
  • UPC—アメリカ、カナダで使用されている統一商品コード
  • QRコード—日本でよく使われている2次元コード
  • ITFコード—物流コードで段ボールなどに使われます
  • EANコード—ヨーロッパの呼び名でJANコードと同じものです
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イラレ用プラグインでJANコード作成

私はイラレにベビーユニバースの「Serial Barcode3」を入れています。イラレで作業中にそのまま作成できるので、便利です。私はイラレ8〜CC2020までこのプラグインを使っています。イラレ2021以降はサブスク版になったようです。このプラグインではクワイエットゾーンが透明な枠で自動生成されるので、JIS規格による余白を計算したりする必要がないので便利。プラグインにはたいてい倍率も0.9倍、0.8倍と指定して作成できるので、倍率指定がある場合は作成時に設定します。

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チェックデジットについて

JANコードの構成される番号には「チェックデジット」という数字列の誤りがないか検知するために追加される末尾の番号があります。下の図のように作成したいJANコードが「1234587891019」の場合「123458789101」と最後の数字をブランクにして打ち込むと、生成されたJANコードに最後の数字が付与されます。この数字か違っている場合、打ち間違いやJANコードのもらった原稿の数字が違っていることになるので、確認しましょう。